本 「ふつうがえらい」 ―佐野 洋子―

友人が本を貸してくれて、電車に乗っているときに読んでいたら、あまりおもしろいので、一駅乗り越してしまった。それが、これ。「ふつうがえらい」。

半ば、話し言葉で書かれていて、自分が話しかけられているみたいな気がして、「うん、そう、そうよね」と相槌をうってしまう、そんな本。ちょっと勢いよすぎるかも、ちょっと斬り過ぎかも、思うところもあるけれど、かえってすがすがしい。「冗談じゃない」というタイトルの短文が好きだ。特に「いいなあ」と思うところが二カ所ある。

・みかんはみかんじゃないか。これをいくら分析して、ビタミンや糖分や水分を計算しても一個のみかんに迫ることは出来ない。この匂い、口の中にひろがる甘さとすっぱさ。あ、あ、あ、しるがたれちゃった。

・多分、黒板の上の無数の真理はノーベル賞にまで連なり、人を宇宙にまで飛ばしたが、そんな事して人間はいいのだろうか。と私はかつての手足二十本で全ての数と宇宙を了解していたどこかの土人と共に生きたいのである。

ああ、アインシュタインも、こうなるとかたなしだなあ…。でも、私は、アインシュタインにも敬意を表す。佐野洋子さんにも敬意を表す。遊んでくれろと、あの手この手を使って私を動かすネコのくろまめにも、敬意を表す。

くろまめ、お待ちどう様。ボールで遊ぼっ!



ふつうがえらい (新潮文庫)
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佐野 洋子
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