父さんへ
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作成日時 : 2007/10/21 23:27
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今日、テレビの番組で特攻隊のことをやっていて、父さん、あなたのことを改めて思いました。父さんがそちらの世界に行ってから、まもなく6年になりますね。身軽な体になり、きっと戦友たちと酒を酌み交わしていることでしょう。そして、今の世の中を見て嘆いていることでしょう。生前、どうしてもあなたのことが苦手で仕方がありませんでしたが、今、父さんがとても懐かしいです。あの大戦のことをわかったような口ぶりで話す私を、父さんはどんな気持ちで見ていたでしょうか。この歳になり、なんとなく、ほんとうになんとなくですが、父さん、あなたの気持ちがようやくわかりかけてきたような気がします。学業半ばにして、学徒出陣で北支に行ったことをよく話してくれましたね。食事当番で、いつもなら二切れのたくあんを、これでは少なかろうと、上官に三切れ出したら、「お前は、わしに『身を切れ』というのかっ!」といちゃもんをつけられて、さんざん殴られたこと、馬の世話をしていて、馬に蹴られて大怪我をし、そのおかげで前線に送られず助かったこと、玉音放送で敗戦を知ったとき、死のうかと思ったこと…。
父さんの戦友に、特攻隊員はいましたか。父さん、振武寮って聞いたことありますか。あなたが生きている間に、もっともっと聴いておけばよかった。後悔しています。父さん、私、今だったら、父さんのいい話し相手になれると思います。
ひかるは、父さん、きっとあなたがよこしてくれたのでしょう。寒くなると、ひかるは決まって父さんが座っていた椅子にまーるくおさまり、他の椅子にはすわりません。父さんは生前、決して動物を家には上げなかったけれど、ひかるのことは、きっとよこしてくれたのだと信じています。それでは、父さん、またお便りします。
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